土づくりのために微生物資材を使っているものの、「思ったほど変化を感じられない」「毎年使っているのに畑の状態が安定しない」と感じることはないでしょうか。
微生物資材は、土壌環境を整えるための選択肢の一つです。しかし、資材を入れるだけで、すべての畑が同じように変わるわけではありません。
土の中の微生物が働くためには、エサとなる有機物だけでなく、適度な水分や空気、温度などの条件も関係します。また、土の硬さや水はけ、pH、養分の偏りなど、畑にもともとある状態によって、資材を使った後の変化も異なります。
株式会社五光では、微生物資材だけに頼るのではなく、土壌微生物が働きやすい環境を畑全体で整えていくことを大切にしています。
このような考え方を、私たちは「畑の菌活®」と呼んでいます。
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微生物資材を入れるだけでは土づくりは完成しない
微生物資材は、土の中の微生物の働きを活かすために使われる資材です。
ただし、微生物資材を使用したからといって、それだけで水はけや土の硬さ、養分の偏りなど、畑が抱えているすべての問題が解決するわけではありません。
たとえば、水がたまりやすく空気が入りにくい畑では、好気性の微生物が活動しにくくなることがあります。反対に、乾燥しすぎる畑でも、微生物の活動は鈍くなります。
また、有機物が少ない畑では、微生物が活動するためのエサが不足していることがあります。
微生物資材を活かすには、資材そのものだけを見るのではなく、微生物が活動する場所である「土の状態」を一緒に見ることが大切です。
土壌微生物が働きやすい環境とは
土の中には、細菌、糸状菌、放線菌など、さまざまな微生物が存在しています。
これらの微生物は、有機物の分解や養分の循環などに関わりながら、作物の根を取り巻く土壌環境の一部をつくっています。
土壌微生物が働きやすい環境を考えるときは、主に次のような条件を確認します。
有機物があること
作物の残根や残渣、堆肥、緑肥などの有機物は、微生物が活動するための材料になります。
ただし、有機物であれば何でも同じではありません。種類や熟度、施用量、すき込む時期によって、分解の進み方は異なります。
未熟な有機物を大量に入れると、分解の途中で作物の生育に影響が出ることもあるため、畑の状態や作付けまでの期間を考えて使うことが必要です。
適度な水分があること
水分は微生物の活動に必要ですが、多すぎても少なすぎても働きにくくなります。
雨の後にいつまでも水が残る畑では、土の中の空気が不足しやすくなります。一方、乾燥が続く畑では、微生物の活動や有機物の分解が進みにくくなることがあります。
水はけと水持ちの両方を考えることが、安定した土壌環境につながります。
土の中に空気が入ること
作物の根や多くの土壌微生物は、活動するために酸素を必要とします。
土が締まりすぎている場合や、排水が悪く土の隙間が水で満たされている場合は、空気が入りにくくなります。
土を深く耕せば必ず改善するわけではありません。土が湿りすぎた状態で機械を入れると、かえって土を締めてしまうこともあります。
畑の硬さや水分を確認しながら、必要に応じて排水対策や有機物の補給を行います。
急激な変化が少ないこと
極端な乾燥や過湿、急激なpHの変化、肥料や石灰資材の入れすぎなどは、土壌環境のバランスを崩す原因になることがあります。
よい土づくりは、一度に大量の資材を入れて急に変えることではありません。
畑の状態を見ながら、必要なものを適量ずつ補い、毎年少しずつ整えていくことが基本です。
土の物理性・化学性・生物性を一緒に見る
土づくりでは、土の状態を「物理性」「化学性」「生物性」の三つに分けて考えることがあります。
物理性
土の硬さ、水はけ、水持ち、通気性、根の伸びやすさなどです。
土が固く締まっている、水が抜けない、乾燥するとカチカチになるといった問題は、物理性に関係しています。
化学性
pHや養分量、養分のバランス、塩類濃度などです。
見た目には同じような土でも、養分が不足している場合もあれば、反対に特定の養分が蓄積している場合もあります。
必要に応じて土壌分析を行うことで、見た目だけでは分からない状態を確認できます。
生物性
土の中にどのような生き物や微生物が存在し、どのように活動しているかという視点です。
生物性だけを単独で整えることはできません。水はけや通気性といった物理性、pHや養分バランスといった化学性も、微生物の活動に関係しています。
そのため、微生物資材を使うときも、生物性だけを見るのではなく、物理性と化学性を含めて畑全体を確認することが大切です。
微生物資材を使う前に確認したいこと
微生物資材を選ぶ前に、まず現在の畑にどのような問題があるのかを整理します。
たとえば、次のような点です。
- 雨の後に水がたまっていないか
- 土が固く、根が伸びにくくなっていないか
- 乾燥すると土の表面が固まらないか
- 作物の残根や残渣が分解されずに残っていないか
- 同じ病気や生育不良を繰り返していないか
- 肥料を増やしても生育が改善しない状態になっていないか
- 土壌分析で養分の不足や過剰が見られないか
大切なのは、「微生物が足りない」と最初から決めつけないことです。
排水不良、土の締まり、養分の偏り、有機物不足など、別の原因によって微生物が働きにくくなっている可能性もあります。
原因を考えたうえで、その畑に必要な対策の一つとして微生物資材を取り入れます。
資材は目的と畑の状態に合わせて選ぶ
微生物資材には、それぞれ原料や形状、使い方、目的の違いがあります。
価格が高い資材や菌数の多さを強調した資材が、すべての畑に適しているとは限りません。
何を選ぶか迷ったときは、商品名だけで比較するのではなく、次の点を確認しましょう。
- 何を目的に使うのか
- いつ使用するのか
- 作付け前か、栽培中か、収穫後か
- どのような有機物と一緒に使うのか
- 畑の水はけや土の硬さはどうか
- 継続して取り入れられる方法か
一度に多く使うことよりも、畑の状態を確認しながら適切な時期に取り入れ、変化を見ていくことが大切です。
株式会社五光が考える「畑の菌活®」
株式会社五光が考える「畑の菌活®」は、単に菌や微生物資材を畑に加えることだけを意味するものではありません。
もともと土の中に存在する多様な微生物が、それぞれの働きを続けられる土壌環境を整えていくという考え方です。
そのためには、有機物を補給すること、水はけや通気性を整えること、養分の偏りを確認すること、作物の根や残渣を土づくりに活かすことなど、さまざまな取り組みが関係します。
畑によって、土質、気候、作物、これまでの管理方法は異なります。
一つの方法をすべての畑に当てはめるのではなく、畑の状態を見ながら、必要な取り組みを少しずつ積み重ねていくことが大切です。
まとめ
微生物資材は、良い土壌環境を整えるために役立つ選択肢の一つです。
しかし、資材を入れるだけで土づくりが完成するわけではありません。
微生物が働きやすい環境をつくるには、有機物、水分、空気、温度、土の硬さ、pH、養分バランスなどを総合的に見る必要があります。
まずは畑を観察し、どのような問題があるのかを整理することから始めましょう。そのうえで、必要な対策の一つとして微生物資材を取り入れることで、資材の特徴を活かしやすくなります。
この記事でご紹介した内容は、株式会社五光が考える「畑の菌活®」の一部です。土づくりは一度で完成するものではなく、畑の状態に合わせて積み重ねていくことが大切です。
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