いちごは、秋に苗を定植して冬を越し、翌春に開花・結実して収穫を迎える栽培方法があります。
春の収穫を安定させるには、生育中の管理だけでなく、秋の定植前に根が伸びやすい土を整え、冬に入る前に苗を活着させることが大切です。
また、収穫後の株や根をそのまま放置せず、残根・残渣の状態を確認しながら、次期作に備えて土を整えることも重要です。
株式会社五光のいちご栽培暦では、秋の定植約1か月前に超堆肥源、ハッコウ肥料いのち特号、マグカル52を施します。
定植時にはゲルマプラントシャワーを株元へ灌水し、越冬後の春には、生育状態を確認しながら葉面散布を行います。
春の収穫後には超堆肥源を使用し、残根・残渣の分解を進めながら土の環境を整えます。
この記事は、株式会社五光の栽培暦・施肥マニュアルに掲載している「いちご(秋植え・春どり)」の内容をもとに、資材を使う時期と考え方を詳しく解説しています。
掲載する時期と使用量は目安です。地域、露地・施設栽培の違い、品種、土壌分析、前作の施肥量、生育状況、気候などに合わせて調整してください。
目次 ➖
いちご栽培の年間スケジュール
五光の栽培暦では、秋に定植し、翌春に収穫する作型を一例として、次の流れを示しています。
- 9月頃:定植約1か月前の土づくりと元肥
- 10月頃:定植・ゲルマプラントシャワーの灌水
- 11月頃~翌2月頃:越冬期の管理
- 3月頃:ゲルマプラントシャワーの葉面散布
- 4月頃:ゲルマプラントシャワーの葉面散布
- 5~6月頃:開花・結実・収穫
- 7月頃:収穫後の土づくり
実際の時期は、地域、積雪、気温、品種、露地栽培・施設栽培の違いによって前後します。
栽培暦の月だけで判断せず、苗の大きさ、根の状態、新葉の展開、開花、果実の肥大を確認しながら作業します。
定植1か月前の土づくりと元肥
五光の栽培暦では、定植のおよそ1か月前に、土づくり資材と元肥を施します。
定植1か月前に使用する資材の目安(10a当たり)
- 超堆肥源:5~10袋
- ハッコウ肥料いのち特号:1~2袋
- マグカル52:1~2袋
各資材を圃場全体へできるだけ均一に散布し、耕うんして土へ混ぜます。
使用量には幅があります。毎年同じ量を施すのではなく、土壌分析、前作で使った肥料や堆肥、これまでの生育状況などを確認して調整します。
超堆肥源の役割
超堆肥源は、土壌微生物の働きを活かしながら、いちごの根が張りやすい土の環境づくりを助ける微生物資材です。
土や有機物と混ぜ、適度な水分と空気を確保することで、微生物が働きやすい状態を整えます。
ハッコウ肥料いのち特号の役割
ハッコウ肥料いのち特号は、いちごの生育に必要な養分を補うために使用する発酵肥料です。
元肥が多すぎると、葉ばかりが強く育ったり、冬に入る前の株の状態に影響したりすることがあります。
土に残っている養分や、これまでの施肥量を確認して使用します。
マグカル52の役割
マグカル52は、土の状態を見ながら、カルシウムやマグネシウムなどを補う目的で使用します。
石灰や苦土が土に十分残っている場合もあるため、土壌分析を参考に使用量を調整することが大切です。
定植前に確認したい土の状態
いちごは、定植後に根を伸ばし、冬を越すための株をつくります。
土が固く締まっている場合や、水がたまり続ける場合は、根が伸びにくくなることがあります。
定植前の確認項目
- 雨や灌水のあとに水が長く残らないか
- 土が固く締まっていないか
- 未分解の残根・残渣が多く残っていないか
- 元肥が一か所へ偏っていないか
- 前作の病気が残っていないか
- 畝の高さや排水路が圃場に合っているか
いちごの根は過湿の影響を受けることがあるため、水がたまりやすい圃場では、畝を高くすることや排水路を整えることも検討します。
資材を多く施すことよりも、水と空気が動き、根が伸びやすい土を整えることが重要です。
苗を定植するときのポイント
苗を定植するときは、根鉢を崩しすぎず、周囲の土となじませるように植え付けます。
株元の中心にあるクラウンを深く埋めすぎると、生育へ影響することがあります。
反対に、根が土から露出するほど浅く植えると、乾燥しやすくなります。
クラウンの位置を確認し、根が土になじむ深さへ植え付けます。
定植後は、苗が倒れず、根鉢と周囲の土が密着する程度に灌水します。
土がすでに十分湿っている場合や、水がたまりやすい圃場では、灌水量を調整してください。
定植時のゲルマプラントシャワー
五光の栽培暦では、いちごの定植時にゲルマプラントシャワーを使用します。
定植時の使用目安
- ゲルマプラントシャワー:2,000倍液
- 定植後に株元へ灌水する
ゲルマプラントシャワーを2,000倍に希釈し、植え付けた苗の株元へ灌水します。
定植直後は、苗の根と圃場の土をなじませ、冬に入る前の活着を進める時期です。
多く灌水することよりも、根鉢と周囲の土がなじむ水分を確保することが大切です。
越冬前に確認したいこと
秋に定植したいちごは、気温が下がるまでに根を伸ばし、冬を越すための状態を整えます。
定植後は、新しい葉が展開しているか、株がぐらついていないか、根元に水がたまっていないかを確認します。
越冬前の確認項目
- 苗が土へ活着しているか
- 新しい葉が展開しているか
- クラウンを深く埋めていないか
- 葉色が濃すぎたり薄すぎたりしていないか
- 株元に水がたまり続けていないか
- 枯れ葉や病斑のある葉が残っていないか
生育が弱い場合でも、すぐに肥料不足と判断せず、定植の深さ、根傷み、水分、低温、病害虫なども確認します。
越冬後は株の状態を確認する
春になり気温が上がると、いちごは新しい葉を伸ばし、開花へ向けて生育を再開します。
積雪のある地域では、雪解け後に傷んだ葉、株元、土の水分を確認します。
枯れ葉や病斑のある葉を整理するときは、クラウンや新しい芽を傷つけないようにします。
雪解け直後や雨のあとで土がぬかるんでいる場合は、圃場へ入ることで土を踏み固めないよう注意します。
春のゲルマプラントシャワー
五光の栽培暦では、3月頃と4月頃にゲルマプラントシャワーの葉面散布を行います。
春の使用目安
- ゲルマプラントシャワー:2,000倍液
- 3月頃:葉面散布
- 4月頃:葉面散布
ゲルマプラントシャワーを2,000倍に希釈し、生育状態を確認しながら葉面へ散布します。
葉の表面だけでなく、可能な範囲で葉裏にもかかるように散布します。
低温時、高温時、強い日差しのある時間帯、雨の直前などは避け、葉が乾きやすい条件で作業します。
ただし、葉面散布だけで、土から吸収するすべての養分を補えるわけではありません。
根の状態、土の水分、葉色、開花の進み方も合わせて確認します。
開花から果実の肥大までに確認したいこと
いちごは、開花したあとに受粉し、果実が少しずつ肥大していきます。
この時期は、極端な乾燥や過湿を避け、根が安定して水分を吸収できる状態を保ちます。
開花・結実期の確認項目
- 新しい葉が順調に展開しているか
- 花や幼果が傷んでいないか
- 果実の肥大が進んでいるか
- 土が乾燥しすぎていないか
- 株元に水がたまっていないか
- 果実や葉に病斑がないか
- 害虫の発生がないか
生育が弱い場合でも、肥料不足だけでなく、低温、根傷み、水分、受粉、病害虫などを確認します。
追肥は生育を見て判断する
いちごの追肥は、元肥の量、土壌分析、越冬後の株の状態、葉色、開花、着果などを確認して判断します。
葉色が濃く、葉が大きく茂っている場合は、すぐに肥料を増やす必要がないこともあります。
一方、新葉が小さい、葉色が薄い、果実の肥大が進みにくい場合は、養分不足の可能性を確認します。
ただし、根が弱っている状態で肥料を増やしても、養分を十分に吸収できないことがあります。
肥料を増やす前に、根、土の水分、排水、気温、病害虫を確認することが大切です。
化学肥料を否定するものではありません。肥料が活きる土の状態を整える考え方です。
果実が土へ触れないように管理する
いちごの果実が湿った土へ直接触れると、汚れや傷みにつながる場合があります。
敷きわらやマルチなどを利用し、果実が土へ直接触れにくい状態を整えます。
ただし、株元を過度に覆い、湿気がこもらないようにします。
果実だけでなく、葉の混み具合や風通しも確認し、傷んだ葉や果実は早めに取り除きます。
収穫後の土づくり
いちごの収穫後には、株、根、葉、ランナーなどの残根・残渣が残ります。
五光の栽培暦では、収穫後に超堆肥源を使用します。
収穫後に使用する資材の目安(10a当たり)
- 超堆肥源:5~10袋
超堆肥源を圃場全体へ均一に散布し、畑へ戻せる残根・残渣と一緒に耕うんします。
残渣は、可能な範囲で細かくすると、土や微生物と接触しやすくなります。
ただし、病気が出ていた株、腐敗した果実、傷みの強い残渣は、健全な残渣と分けて考えます。
病害の種類や発生状況によっては、畑へ戻さず、圃場外へ持ち出す必要があります。
微生物が働くためには、適度な水分、空気、分解期間が必要です。
超堆肥源を散布するだけでなく、水分と排水を確認し、次期作に備えて土の環境を整えます。
いちご栽培で使う資材と使用量一覧
| 時期 | 資材 | 使用量の目安 | 使い方 |
|---|---|---|---|
| 定植約1か月前 | 超堆肥源 | 10a当たり5~10袋 | 全面散布後に耕うん |
| 定植約1か月前 | ハッコウ肥料いのち特号 | 10a当たり1~2袋 | 元肥として全面散布後に耕うん |
| 定植約1か月前 | マグカル52 | 10a当たり1~2袋 | 土壌分析を参考に全面散布後に耕うん |
| 定植時 | ゲルマプラントシャワー | 2,000倍液 | 株元へ灌水 |
| 3月頃 | ゲルマプラントシャワー | 2,000倍液 | 葉面散布 |
| 4月頃 | ゲルマプラントシャワー | 2,000倍液 | 葉面散布 |
| 収穫後 | 超堆肥源 | 10a当たり5~10袋 | 全面散布後に残根・残渣と耕うん |
栽培暦の使用時期と使用量は目安です。
土壌条件、気候、品種、栽培方法、前作の施肥、生育状況などによって必要量は異なります。
家庭菜園で使う場合
五光の栽培暦に記載している袋数は、主に農業者向けの10a当たりの目安です。
家庭菜園では、畑の面積に合わせ、商品の表示量を確認して使用します。
ただし、小さな畑では、これまでに入れた堆肥や肥料が多く残っていることがあります。
面積だけで単純に換算せず、前作の施肥量、土の状態、いちごの生育を確認して調整してください。
初めて超堆肥源を家庭菜園で使う方は、家庭菜園で超堆肥源を使う方法も参考にしてください。
土壌分析を施肥設計に活かす
栽培暦に使用量が示されていても、毎年同じ量を施すことが適切とは限りません。
前作で使われなかった養分が土に残っている場合もあれば、降雨や灌水によって養分が流れやすくなっている場合もあります。
土壌分析では、pH、リン酸、石灰、苦土、カリ、腐植などの状態を確認します。
分析結果と、葉色、新葉の展開、開花、果実の肥大、根張り、水はけなどの実際の状態を合わせて見ることで、施肥量を調整しやすくなります。
まとめ
五光のいちご栽培暦では、秋の定植約1か月前に、超堆肥源、ハッコウ肥料いのち特号、マグカル52を施し、全面散布後に耕うんします。
定植時には、ゲルマプラントシャワーの2,000倍液を株元へ灌水します。
越冬後の3月頃と4月頃には、株の生育を確認しながら、ゲルマプラントシャワーの2,000倍液を葉面散布します。
春の収穫後は、超堆肥源を散布し、残根・残渣の状態を確認しながら、分解しやすい土の環境を整えます。
ただし、栽培暦の時期や使用量は目安です。
土壌分析、前作の施肥量、生育、開花、着果、水分、排水、病害虫などを確認し、圃場に合わせて調整してください。
資材を決められた量だけ入れるのではなく、根が働きやすい土の状態と、作物の実際の生育を見ながら管理することが大切です。
これは畑の菌活®という考え方の一部です。
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