微生物が働きやすい土とは、水・空気・有機物のバランスが整い、土の中でさまざまな微生物が活動しやすい状態の土です。
微生物資材を使ったからといって、どのような土でも同じように微生物が働くわけではありません。
土が乾きすぎている。
反対に、水がたまり空気が不足している。
微生物のエサになる有機物が少ない。
土が固く締まり、根や空気が通るすき間が少ない。
こうした状態では、微生物を加えても、その働きが続きにくいことがあります。
大切なのは、微生物の数だけを増やそうとすることではなく、もともと土にいる微生物も含めて、働きやすい環境を整えることです。
この記事では、微生物が働きやすい土の条件と、水・空気・有機物を整える土づくりについて、畑の菌活®の視点で解説します。
目次 ➖
微生物が働きやすい土とは?
微生物が働きやすい土とは、微生物が生き、増え、有機物の分解や養分の循環に関わりやすい環境が整っている土です。
土の中には、細菌、糸状菌、放線菌など、さまざまな微生物が存在しています。
それぞれの微生物は、有機物を分解したり、養分の動きに関わったり、土の粒子がまとまる働きを助けたりしています。
ただし、微生物は土の中にいれば必ず十分に働けるわけではありません。
水分が不足している。
空気が少ない。
エサになる有機物がない。
温度や酸度が大きく偏っている。
こうした環境では、微生物の活動が弱くなったり、特定の微生物に偏ったりすることがあります。
微生物が働きやすい土を考えるときは、微生物そのものだけでなく、微生物が暮らす土の環境を見ることが大切です。
水分は多すぎても少なすぎても働きにくい
微生物が活動するためには、水分が必要です。
土が乾きすぎると、微生物の活動は弱くなり、有機物の分解も進みにくくなります。
一方で、水分が多すぎる状態も良いとは限りません。
土のすき間が水で埋まると、土の中の空気が少なくなります。
空気を必要とする微生物は働きにくくなり、分解の進み方が偏ることがあります。
水がたまりやすい畑では、根の呼吸も妨げられ、根が傷みやすくなることがあります。
微生物が働きやすい土には、適度な水分がありながら、余分な水が抜けることが大切です。
雨のあとに水が長く残っていないか、乾くと土が極端に固くならないかなど、畑の水分状態を観察することが土づくりの第一歩になります。
土の中の空気が微生物と根を支える
土づくりでは、水分だけでなく空気も重要です。
土の中には、土の粒子同士の間に小さなすき間があります。
このすき間に水と空気が入り、根や微生物が活動できる環境がつくられます。
土が固く締まっていると、すき間が少なくなり、水や空気が通りにくくなります。
また、水はけが悪い土では、すき間が水で満たされ、空気が不足しやすくなります。
空気が少ない状態では、根が呼吸しにくくなるだけでなく、好気性の微生物も働きにくくなります。
残根・残渣の分解が思うように進まなかったり、土の中でガスが発生したりすることもあります。
微生物が働きやすい土をつくるには、水が抜け、空気が入る土の構造を整えることが大切です。
有機物は微生物のエサになる
有機物は、土の中の微生物にとって大切なエサになります。
収穫後に残る根、茎、葉などの残根・残渣。
堆肥。
米ぬか。
魚かすや油かすなどの有機質資材。
こうした有機物を微生物が分解することで、土の中で養分が循環していきます。
ただし、有機物は入れれば入れるほど良いわけではありません。
一度に多量の未分解有機物を入れると、分解に時間がかかったり、作物の根の近くで急激な分解が起きたりすることがあります。
土の水分や空気が不足している場合は、有機物を入れても十分に分解されないことがあります。
大切なのは、土の状態と作付けまでの期間を考えながら、微生物が分解しやすい形と量で有機物を活用することです。
残根・残渣は分解されれば土づくりに役立つ
収穫後に畑へ残る根や茎、葉などは、処理の仕方によって土づくりに役立つ有機物になります。
残根・残渣を細かくし、土とよく混ぜ、水分と空気がある状態を整えると、微生物による分解が進みやすくなります。
一方で、太い茎や硬い根がそのまま残っていると、分解に時間がかかります。
分解が進まないまま次の作付けや定植をすると、作物の根の近くで分解が続き、土の環境が不安定になることがあります。
また、病気が出ていた作物の残渣は、無理に土へ戻さず、病害の状態に応じて適切に処理する必要があります。
残根・残渣を活かすためには、ただすき込むのではなく、微生物が働ける条件と分解に必要な期間を確保することが大切です。
団粒構造が水と空気のバランスを整える
微生物が働きやすい土づくりでは、団粒構造も重要です。
団粒構造とは、細かな土の粒子が小さなかたまりをつくり、その間に大小のすき間ができている状態です。
大きなすき間は、余分な水を流し、空気を通す役割を持ちます。
小さなすき間は、作物や微生物が利用する水分を保つ働きがあります。
団粒構造が整った土は、水はけと水持ちの両方を保ちやすく、根や微生物が活動しやすい環境になります。
微生物は有機物の分解だけでなく、土の粒子がまとまる働きにも関わっています。
そして、団粒構造が整うことで、さらに微生物が働きやすくなります。
土の構造と微生物の働きは、互いに関係しながら育っていきます。
根と微生物は土の中で関わっている
作物の根と土壌微生物は、土の中で互いに影響し合っています。
根の周りには、根から出る成分を利用する微生物が集まりやすくなります。
微生物の働きによって有機物の分解や養分の循環が進むと、根が利用できる養分にも影響します。
一方で、土が固く根張りが悪い場合は、根の周りの微生物が活動できる範囲も狭くなりやすくなります。
水はけが悪く根が傷んでいる土では、根と微生物の関係も安定しにくくなります。
根が伸びやすい土を整えることは、微生物が働きやすい環境づくりにもつながります。
反対に、微生物が働きやすい土を整えることは、根が張りやすい土づくりにもつながります。
微生物を増やすことだけが目的ではない
微生物資材を使うとき、「微生物を増やせば土が良くなる」と考えることがあります。
しかし、大切なのは、微生物の数だけではありません。
土の中には、もともと多くの種類の微生物が存在しています。
そこへ微生物資材を加えても、水分、空気、有機物などの環境が整っていなければ、十分に働き続けることが難しい場合があります。
また、特定の微生物だけが多ければ良いというものでもありません。
さまざまな微生物が関わり合いながら働ける状態をつくることが、土の安定につながります。
畑の菌活®では、微生物をただ増やすことではなく、土壌微生物の多様性を大切にしながら、微生物が働きやすい環境を整えることを重視しています。
微生物資材を活かすために必要なこと
微生物資材は、土づくりを助けるための資材です。
ただし、資材だけですべての土の問題を解決するものではありません。
土が乾ききっている場合は、微生物が活動するための水分が不足します。
水がたまっている場合は、空気が不足します。
有機物が少ない場合は、微生物が継続して働くためのエサが不足します。
残根・残渣が大きなまま残っている場合は、分解に時間がかかります。
微生物資材を活かすには、適度な水分、通気性、有機物、分解に必要な期間をあわせて考えることが大切です。
散布後は、必要に応じて土へ軽く混ぜ、直射日光や乾燥の影響を受けにくい状態にすることもポイントです。
微生物が働きやすい土に整えるポイント
微生物が働きやすい土に整えるためには、畑の状態を確認しながら、水・空気・有機物のバランスを考えます。
土が乾きすぎていないか。
雨のあとに水が長く残っていないか。
土が固く締まっていないか。
残根・残渣が分解されずに残っていないか。
微生物のエサになる有機物が少なくなっていないか。
こうした点を確認します。
水はけが悪い場合は、排水や畝の高さ、土の通気性を見直します。
土が固い場合は、耕運の仕方や有機物の補給を考えます。
残根・残渣が多い場合は、細かくして土と混ぜ、分解するための期間を設けます。
そのうえで、必要に応じて微生物資材や土壌改良資材を活用します。
微生物が働きやすい土は、一度の作業だけで完成するものではありません。
畑の状態を観察しながら、毎年少しずつ環境を整えていくことが大切です。
まとめ
微生物が働きやすい土とは、水・空気・有機物のバランスが整った土です。
土が乾きすぎていると、微生物の活動は弱くなります。
反対に、水が多すぎると土の中の空気が不足し、根や微生物が働きにくくなります。
有機物は微生物のエサになりますが、土の状態や分解期間を考えて活用することが大切です。
また、団粒構造が整った土は、水と空気を保ちやすく、根と微生物が活動しやすい環境になります。
大切なのは、微生物の数だけを増やそうとすることではなく、もともと土にいるさまざまな微生物が働きやすい環境を整えることです。
水・空気・有機物を整えることは、畑の菌活®という考え方の一部です。
畑の状態を観察しながら、根と微生物がともに働きやすい土づくりを続けていきましょう。
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微生物を加えることだけでなく、微生物が働きやすい土の環境を整えることから、畑の菌活®を始めてみてください。