生育不良の原因は、肥料不足だけとは限りません。
作物の生育が思うように進まないとき、「肥料が足りないのでは?」と考えることがあります。
もちろん、養分が不足している場合もあります。
しかし、土が固い、水はけが悪い、根張りが弱い、残根・残渣の分解が進んでいない、微生物が働きにくいといった土の状態が、生育不良につながることもあります。
肥料を入れても作物がうまく吸収できない土では、生育が安定しにくくなります。
この記事では、生育不良の原因を肥料だけで判断せず、土の状態や根、微生物の働きから考える土づくりを、畑の菌活®の視点で解説します。
目次 ➖
生育不良とは?
生育不良とは、作物が本来の生育スピードで育たない、株が弱い、葉色が悪い、草丈が伸びない、根張りが弱い、収量が上がらないなど、作物の育ち方が思わしくない状態のことです。
葉色が薄い。
株が小さい。
茎が細い。
根が少ない。
実付きが悪い。
同じ畑の中で生育ムラがある。
こうした状態は、地上部に見える症状として現れます。
ただし、その原因は地上部だけを見てもわからないことがあります。
肥料不足に見える症状でも、実際には根が伸びにくい土になっていたり、水はけが悪く根が傷んでいたり、土の中の微生物が働きにくい状態になっていたりすることがあります。
生育不良を考えるときは、作物の見た目だけでなく、土の状態もあわせて見ることが大切です。
肥料不足だけが原因とは限らない
生育不良が起きると、まず肥料不足を疑うことがあります。
もちろん、作物に必要な養分が不足していれば、肥料で補うことは大切です。
しかし、肥料を入れれば必ず生育が良くなるわけではありません。
土が固くて根が伸びにくい場合、作物は土の中の養分を十分に吸収できないことがあります。
水はけが悪い場合、根が傷みやすくなり、養分を吸う力が弱くなることがあります。
残根・残渣の分解が進んでいない場合、根のまわりの環境が不安定になることがあります。
微生物が働きにくい土では、有機物の分解や養分の循環も進みにくくなります。
つまり、生育不良は肥料の量だけでなく、肥料を受け止める土の状態と関係しています。
畑の菌活®では、肥料を否定するのではなく、肥料が活きる土の環境を整えることを大切にしています。
土が固いと生育が伸びにくい
土が固いと、作物の根が伸びにくくなります。
根は、土の中のすき間を通って広がり、水分や養分を吸収します。
土が締まりすぎていると、根が深く伸びにくくなり、吸収できる範囲も狭くなります。
その結果、葉色が悪い、株が小さい、草丈が伸びない、肥料を入れても反応が弱いといった生育不良につながることがあります。
また、土が固いと、水や空気も通りにくくなります。
根だけでなく、土の中の微生物も働きにくい状態になりやすくなります。
生育不良が見られるときは、まず土が固くなっていないか、根が伸びるすき間があるかを確認することが大切です。
水はけが悪いと根が弱りやすい
水はけの悪い土も、生育不良の原因になります。
雨のあとに水が残りやすい畑や、長く湿った状態が続く畑では、土の中の空気が不足しやすくなります。
根は水分を必要としますが、同時に空気も必要です。
土の中が過湿になると、根が呼吸しにくくなり、根が傷みやすくなることがあります。
根が弱ると、水分や養分の吸収が不安定になり、地上部の生育にも影響します。
また、水はけが悪い状態では、有機物の分解が偏ったり、ガスが発生したりすることがあります。
その結果、根のまわりの環境が不安定になり、生育が落ちることがあります。
生育不良を考えるときは、肥料だけでなく、水はけや土の中の空気の状態も見ておきたいポイントです。
根張りが弱いと養分を吸いにくい
根張りが弱いと、作物は水分や養分を十分に吸収しにくくなります。
土の中に養分があっても、根が十分に伸びていなければ、作物はそれをうまく利用できません。
根が浅い。
細い根が少ない。
根が広がらない。
根が傷んでいる。
このような状態では、葉や茎の生育が弱くなったり、追肥への反応が出にくくなったりすることがあります。
根張りの悪さは、土の固さ、水はけ、残根・残渣の分解不足、有機物の少なさ、微生物の働きにくさなどと関係します。
生育不良を改善するためには、地上部だけでなく、根が伸びやすい土の環境を整えることが大切です。
残根・残渣の分解不足が影響する
収穫後に残った根、茎、葉、株元などの残根・残渣が分解されずに残っている場合も、生育不良につながることがあります。
残根・残渣は、微生物によって分解されれば、土づくりに役立つ有機物になります。
一方で、分解が進まないまま作付けや定植に入ると、作物の根の近くで分解が続き、土の中の環境が不安定になることがあります。
特に、残渣の量が多い場合や、太い茎・硬い根が残っている場合は、分解に時間がかかります。
また、病気が出ていた作物の残渣が残っている場合は、次の作物への影響も考える必要があります。
作付け前や定植前には、残根・残渣がしっかり分解されているかを確認し、必要に応じて分解を進める土づくりを行うことが大切です。
微生物が働きにくい土では生育が不安定に
土の中では、微生物が有機物の分解や養分の循環、団粒構造づくりなどに関わっています。
微生物が働きやすい土では、有機物が分解されやすく、土の中の環境も整いやすくなります。
一方で、有機物が少ない、土が乾きすぎている、過湿で空気が不足している、土が固いといった状態では、微生物の働きが続きにくくなることがあります。
微生物が働きにくい土では、養分の循環が進みにくくなったり、土の構造が育ちにくくなったりすることがあります。
その結果、根が伸びにくくなり、生育が不安定になることがあります。
畑の菌活®では、特定の要素だけでなく、微生物が働きやすい土の環境を整えることを大切にしています。
肥料が効きにくい土では反応が出にくい
生育不良が見られると、肥料を足せば良くなると考えることがあります。
しかし、肥料が効きにくい土では、追肥をしても思ったように反応が出ないことがあります。
土が固いと、根が養分に届きにくくなります。
水はけが悪いと、根が弱り、養分を吸う力が落ちることがあります。
微生物が働きにくい土では、有機物の分解や養分の循環も進みにくくなります。
そのため、肥料が効きにくいと感じる場合は、肥料の種類や量だけでなく、土の状態を見直すことが大切です。
肥料を活かすためには、根と微生物が働きやすい土の環境が必要です。
病害や連作障害も見逃せない
生育不良には、病害や連作障害が関係している場合もあります。
同じ作物や同じ科の作物を続けて栽培している畑では、特定の病害虫や土のバランスの偏りが出やすくなることがあります。
病気が出ていた残渣をそのまま畑に残すと、次の作物に影響することがあります。
また、根に病気が出ている場合、地上部だけを見ると肥料不足のように見えることがあります。
生育不良が毎年同じ場所で出る場合や、特定の作物で繰り返し起こる場合は、連作や病害の影響も考える必要があります。
畑の状態を見ながら、必要に応じて残渣処理、土壌消毒、輪作、土壌改良などを組み合わせて考えることが大切です。
生育不良を改善する土づくりの考え方
生育不良を改善するためには、まず原因をひとつに決めつけないことが大切です。
肥料不足なのか。
土が固いのか。
水はけが悪いのか。
根張りが弱いのか。
残根・残渣の分解が進んでいないのか。
微生物が働きにくい土になっているのか。
病害や連作障害の影響があるのか。
こうした点を確認しながら、畑の状態に合わせて土づくりを考えます。
土が固い場合は、根が伸びやすいすき間をつくることを考えます。
水はけが悪い場合は、排水や通気性を見直します。
残根・残渣が多い場合は、分解を進める作業を考えます。
有機物が少ない場合は、微生物が働きやすい環境を整えます。
必要に応じて、微生物資材や土壌改良資材を活用し、根と微生物が働きやすい土に整えていきます。
まとめ
生育不良の原因は、肥料不足だけとは限りません。
土が固い、水はけが悪い、根張りが弱い、残根・残渣の分解が進んでいない、有機物が少ない、微生物が働きにくい、病害や連作障害の影響があるなど、さまざまな原因が関係していることがあります。
大切なのは、作物の見た目だけで判断せず、土の状態や根の状態もあわせて見ることです。
肥料を使うことも大切ですが、肥料が活きる土の環境が整っていなければ、作物が十分に養分を吸収できないことがあります。
生育不良を考えることは、畑の菌活®という考え方の一部です。
根が伸びやすく、微生物が働きやすい土の環境を整えることで、作物が育ちやすい畑づくりを進めていきましょう。
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