農業や園芸において、土壌や植物の健康を支える微生物は欠かせない存在です。これらの微生物は「有用微生物」と呼ばれ、土壌の改良や作物の成長を助ける役割を果たします。微生物バランスを適切に保ち、良い菌を増やすことが、健康な土壌と作物を育てる鍵となります。本記事では、土壌環境を改善し、作物の成長を促す発酵微生物・有用微生物について詳しく解説します。
1. 土壌善玉菌
■概要:土壌善玉菌とは、土壌環境を良好に保ち、作物の健康を促進する微生物の総称です。
■役割:
・土壌中の有機物を分解して栄養分を作り出す。
・病原菌の増殖を抑え、作物を病気から守る。
・土壌の物理性を改善し、根の成長を助ける。
・例:乳酸菌、放線菌、アーバスキュラー菌根菌などが土壌善玉菌として挙げられます。
2. アーバスキュラー菌根菌(AM菌)
■概要:植物の根と共生関係を築く微生物で、菌根菌の一種です。
■役割:
・植物の根から糖類をもらい、その代わりに土壌中のリン酸やミネラルを効率的に吸収させる。
・作物の成長を促進し、収穫量を向上させる。
■特徴:
・特にリン酸の吸収効率を高めるため、リン資材との併用が効果的。
・作物の根の範囲を物理的に広げる働きも持つ。
3. 酵母菌
■概要:発酵の過程で重要な役割を果たす微生物で、主に土壌の有機物を分解する能力に優れています。
■役割:
・有機物を分解し、栄養を作物に供給する。
・発酵を促進し、堆肥作りにも貢献する。
■特徴:アルコール発酵や乳酸発酵をサポートすることで、他の微生物と相乗効果を発揮。
4. 乳酸菌
■概要:乳酸を生成する微生物で、酸性環境を作り出すことで病原菌の抑制に役立ちます。
■役割:
・土壌のpHを調整し、有害な微生物の活動を抑制。
・腐敗を防ぎ、作物の健康を促進する。
■特徴:腐敗菌を抑えるため、堆肥の発酵や土壌の防御力強化に利用される。
5. 放線菌
■概要:菌と細菌の中間的な特性を持つ微生物で、抗生物質の生産にも関わっています。
■役割:
・有機物の分解を助け、栄養供給を行う。
・病原菌を抑える天然の抗生物質を生成。
■特徴:
・土壌に特有の香り(いわゆる「土の匂い」)を作る菌としても知られる。
・団粒構造の形成を助け、土壌の通気性を向上。
6. 糸状菌
■概要:いわゆる「カビ」の一種で、土壌や堆肥中で活発に働きます。
■役割:
・有機物の分解を促進し、栄養分を作り出す。
・土壌の構造改善に寄与し、保水性や通気性を高める。
■特徴:土壌中で菌糸を張り巡らせ、他の微生物と共生することで効果を発揮。
7. 有用微生物(全般)
■概要:これらすべての微生物を含む総称で、土壌や作物の健全な成長を支える重要な存在。
■共通の役割:
・栄養分の循環と供給。
・病害虫の抑制。
・土壌の構造改善。
・作物のストレス耐性を向上。
■具体的な利用例:微生物資材として土壌に投入することで、自然環境の力を借りた農業が可能になります。
まとめ
土壌善玉菌、アーバスキュラー菌根菌、酵母菌、乳酸菌、放線菌、糸状菌といった有用微生物は、それぞれ異なる特徴を持ちながらも、土壌環境の改善や作物の健康促進に大きな役割を果たしています。これらを適切に活用することで、持続可能で環境に優しい農業を実現できるのです。弊社で取り扱いの有用微生物入りの資材をお求めの方は楽天市場店「畑の菌活肥料の五光」にてご購入いただけます。